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無量一読

わりとなんでも読む読書中心の感想ブログ。

トコとミコ

小説

 

トコとミコ

トコとミコ

 

 

 

一話目の「お相手」をオール読物の誌上で読んだ時、とても印象に残っていたのですがその後も続き単行本になりました。

各話をかいつまんで読んでみても面白いのですが、通して読むと燈子と美桜子の積み重ねてきた歳月が感じられて感激もひとしお。

最初は馴染めなかった「トコちゃま」呼びも読了すると逆にそう呼びたくなってくるから不思議です。

 

燈子と美桜子の出会いは昭和二年。六苑伯爵家で働く親を持つ美桜子は、令嬢である燈子の遊び相手になり、それからの人生の様々な局面を二人で過ごし、時には反目しつつ乗り越えていきます。

美桜子はやり手であり、六苑家が落ちぶれず幸福になる道を模索し奔走するものの、対する燈子は結婚して子を育み、穏やかに過ごしていました。

燈子の子である春馬の大麻騒動や葵の父親についてはややヒヤッとするものを感じましたが、逆に燈子がおおっぴらに動かなかったからこそ丸く収まったのかもしれません。

逆にあれだけ六苑家に尽力しようとした美桜子の人生が、金や過去の栄光はありつつも孤独に終わったのが、少し残念ではあります。

メインは昭和のエピソードで時代背景の描写は素晴らしくも、平成の世ではキラキラネームを刺々しくなく書いているところが好感触でした。

最後の燈子と美桜子のやりとりには、とても救われるものがあります。