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無量一読

わりとなんでも読む読書中心の感想ブログ。

この世界の片隅に

本以外の感想

 

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

 

 

 

※ リンクは原作のものです。

 

うろ覚えなのですが「君の名は」を見に行った時に、この映画の予告編を見た……ような気が。

各所で話題になっており、決め手となったのは監督と脚本を務められた片渕須直さんが、私が小学生の頃から大好きな映画「アリーテ姫」の監督だったこと。

映画館で見て良かったと思える、素晴らしい作品でした。

 

 

 

 

浦野すずは絵を描くのが得意な広島市江波に住む、ぼんやりした少女。満18歳の時、呉の北條家に嫁ぎます。慣れない土地での生活が始まり、穏やかな夫とその両親や、嫁ぎ先で夫が早逝したため離縁し戻ってきた径子や晴美と暮らします。

すずが北條家にやって来たのは1943年のことで、日本は太平洋戦争の最中にあり、戦争の影は北條家の暮らしにも忍び寄ってきていました。

単刀直入に言って、この映画は感想が非常に書きにくいです。

まず第一の理由として挙げられるのが、普通の映画の感想では必ず書くものとして好きな場面というのがあると思いますが、ありすぎる。

言い出すとキリがありません。海苔を届けに行く場面、座敷わらし(?)が登場するところ、水原哲の代わりに絵を描くところ、嫁いで最初の夜や白木リンとの出会い、蟻と砂糖のささやかな攻防、防空壕の入り口のキスシーン……等々、挙げ始めると全部好きな場面になるような勢い。

工夫を凝らして野草を料理に使うところとかですね、本当に良かった。

戦時中の映画だからといって、必ずしも死体の描写がなければならないだとかそんなことはないと思います。要介の無言の帰宅は全編の雰囲気あってこそ。

しかし空襲シーンは怖かった。不発弾の爆発シーンからすずが意識を戻すまでのところとか、辛い場面もたくさんあります。

第二の理由は空気感でしょうか。北條家の人々とか、江波の実家の家族とかと過ごす風景が、非常に親近感のある描写になっていること。

それらが前触れ無く消えていく。原爆投下後の広島市からやって来た人が隣保館に座っていて後で誰なのかが分かるところとか、そういうのがさらっと描かれているのが素晴らしいです。

特に径子はいいキャラクターでした。この人がいるからこそすずの生活が彩り鮮やかなものになったような気がします。8月6日の朝のシーンは涙が出ましたし、ここで持ってくるのか! となりました。

もとより戦争映画はそこそこ見てきましたが、この作品はその中でもトップクラスな作品になると思います。

ちなみにエンドロール後にクラウドファンディングのサポーターの名前がずらっと出てくるのですが、西瓜を食べてから後のリンのエピソードになっています。

すっごくかわいいです!本編の外になってしまうけれど、リンはあの後穏やかに暮らしてすずとどこかで再会しているといいなぁ、と思います。