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無量一読

わりとなんでも読む読書中心の感想ブログ。

ただ、それだけでよかったんです

ライトノベル

 

 

 

こちらは第22回電撃大賞の大賞受賞作です。

過去の受賞作品と比べると異色に感じるこの作品、今月同著者の新作が刊行されるということで読んでみました。

タイトルとあらすじを見た時は最初はメディアワークス文庫ではなかったことに意外さを感じたのですが、読むとたしかに電撃文庫に合っている作品だと思いました。

 

菅原拓は悪魔です。誰も彼の言葉を信じてはいけない」という遺書を残し自殺した、少年Kこと岸谷昌也。物語は真実を追う姉の岸谷香苗と、遺書で名指しされた菅原拓のエピソードが交錯する形で進行します。

キーポイントとなるのは、作中に登場する「人間力テスト」なるものの存在です。

他己評価によって自分の人間的能力を点数化されて突きつけられるというこのテストにおいて、昌也は上位、拓はビリに近い順位で、にも関わらず拓は昌也を含む四人のクラスメイトを支配し、一人を自殺に追いやった、というのが序盤で明かされる設定です。

多くを語るとネタバレになるので控えますが、びっくりするほど救いがありません。

登場人物達が中学生ということを考えると、この残虐性は納得できます。

おそらくこの作品は不快に感じるのも正常な反応なのではないかなと思います、主人公は除くとしてもここまで「完全な善人」らしいのを排除するのはある意味すごいです。

総じて、ここまで上手く事が運ぶかなぁ、と懐疑的になってしまうところもありましたが、終盤の拓の主張はなかなか刺さるものがありました。

種々の主張に共感するのも正しく、物語そのものを否定するのもまた正しい読み方であると考えます。私はこの作品は結構好きです。