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無量一読

わりとなんでも読む読書中心の感想ブログ。

母性

小説

 

母性 (新潮文庫)

母性 (新潮文庫)

 

 

 

シンプルだけどいいタイトルとジャケットだなぁと、読後は尚思います。

同著者の作品はいくつか読んできたのですが、今回も安心して読める展開のミステリーでした。

愛の対象が「親と子」ではなく「母と子」であることに意味があるような気がします。

 

ある日自宅の庭で女子高生が倒れているのが見つかり、自宅から転落したものだと思って捜査が開始。そこでの母のコメントは、「愛能う限り、大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて信じられません」、というものでした。

女子高生は死んではいないというのが大事なところですね。母と娘、第三者の視点が交互にやってきて、どちらもリアリティがあって感情移入できます。

このタイトルがより染みるのは、子から母への愛の枯渇が描かれているからだと思います。

娘はまだ高校生であるから除外するとしても、それ以外のキャラクターが自己中心的で読んでいてイライラします。しかし展開や結末はすっと納得できる内容です。

更にこの話、第三者の視点の部分を読むと、物語の外ではまだまだ続くになっているっぽいのです。

実を言うと、最初はこの第三者が何者なのかあまりピンときていませんでした。この第三者の存在があるからこそ、実はこの物語の終焉は見せかけだけのハッピーエンドなのではないか、と思えてきます。

母と子の愛情以上に難しい物はないのだろうなと、唸ってしまう一冊でした。