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無量一読

わりとなんでも読む読書中心の感想ブログ。

異類婚姻譚

小説

 

異類婚姻譚

異類婚姻譚

 

 

 

有名な一冊ですね。第154回芥川賞受賞作です。

この作者さんの「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」が好きで、芥川賞を受賞したこちらの作品も気になっていました。

もちろん歳月の経過も理由の一つだとは思うのですが、その作品よりも円熟した印象を受けました。

 

結婚四年目の夫婦は子もなく穏やかに暮らしていましたが、ある日妻(サンちゃん)は自分の顔が夫に似つつあることに気づきます。

この二人はわりと明確な境界を持っているにもかかわらず、徐々に交わっていく不思議な感触の作品です。元夫は一旦離婚しており、再婚しています。

不思議というより不気味な話です。たとえばiPadでゲームに興じる場面、なんてことはない普通な場面のはずなのに怖いんです。

自分も延々と農作物を収穫するとかいうゲームをやったことはあるのに、です。

私だったらこんなぐうたらな夫は嫌だなあ、と思うと同時に、そこが現実と架空の境界線になってくれているのかなと思いました。

竜胆を隣に植えたことには愛を感じますし、良い話として終わっていますが、さあっと寒くなるような終わり方でした。

表題作以外の三編も独特で面白かったです。「トモ子のバウムクーヘン」のラストシーンが好きです。