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無量一読

わりとなんでも読む読書中心の感想ブログ。

テレーズ・ラカン

西洋の文学

 

テレーズ・ラカン〈上〉 (岩波文庫)

テレーズ・ラカン〈上〉 (岩波文庫)

 

 

 

今回読んだのは、上下に分冊されている岩波文庫版です。

ゾラの小説を読んでみたいと思った時に、興味が湧いたのが夫を殺して姦通の相手と結ばれるという流れのこの作品でした。

現代のミステリーでも十分ありそうなテーマで、非常に読みやすかったです。

 

舞台は19世紀パリ、テレーズは病弱な従兄弟のカミーユの妻でしたが、激情家のテレーズがカミーユの友人であるローランと出会ってから彼と愛し合うようになり、ついにはボートを使ってカミーユを事故死に見せかけて殺してしまいます。

悲劇で、なおかつ衝撃的な終わり方をするところがいかにもフランス文学らしいと感じます。

文学作品ながらも読みやすい作品なのは、描写がキャラクターの心理描写に寄っている体と思われます。

この作品の登場人物は、主人公のテレーズを含めて全員が身勝手さを持っていて軋み合うようなところがあります。個人的にはラカン夫人が大概でした。

上巻でテレーズがローランに胸の内を語る場面など、印象的なところも多々ありますが、なんといっても圧倒的なのは悲惨な最期を迎えるラストシーンです。

壮絶で、まるで映像を見ているかのような臨場感がありました。最後の段落がまたなんともいえません。

破滅的な結末が読みたい時にはうってつけの作品でした。