読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

無量一読

わりとなんでも読む読書中心の感想ブログ。

谷崎潤一郎フェティシズム小説集

日本の文学

 

谷崎潤一郎フェティシズム小説集 (集英社文庫)

谷崎潤一郎フェティシズム小説集 (集英社文庫)

 

 

 

ジャケットがえもいわれぬ色っぽさを兼ね備えているこちらの作品。

ウィキペディアによると、フェティシズムは「物品や生き物、人体の一部などに性的に引き寄せられ、性的魅惑を感じるものを言う」のだそうです。これが一番意味的には近いかと。

本そのものは薄いのに、とても濃密な1冊でした。

 

本書に収録されているのは「刺青」「青い花」ほか6編です。

変態的な描写が目立ちます。ねっとりしているけれど、当人達があまり隠そうとしていないからかからっとしています。

共感するというよりも、ちょっと離れたところから傍観するのが適切でしょうか。

どれもインパクトがある内容でしたが、特に強烈なのが「富美子の足」。

手紙による語り口調から始まって、先だって亡くなった隠居について書かれたもので、足に執着していた隠居のエピソードでした。

隠居の死に際は想像すると滑稽だけれど、身内にしてみれば溜まったもんじゃない、というのが現実のフェティシズムに対する齟齬に当てはまるようです。

この作品は4作目に収録されているのですが、これが最初になっていたら完全にこの話に持って行かれていたのではないかと思うほどにすごい話でした。

こういう作品を見ると、人間ってわからないなぁと思います。