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無量一読

わりとなんでも読む読書中心の感想ブログ。

記憶屋

小説

 

記憶屋 (角川ホラー文庫)

記憶屋 (角川ホラー文庫)

 

 

 

角川ホラー文庫より、ミステリー色の強い一作です。

もし嫌な出来事を忘れてしまえたら、というのはエンターテイメント作品を通じてしばしば考えることです。

非常に読みやすくて面白かったです。

 

主人公遼一は大学の先輩の杏子に惹かれており、彼女の夜道恐怖症を改善しようと努力するものの、記憶屋によって遼一の記憶ごと彼女が夜道を苦手となった経緯が抹消されてしまうというストーリーです。

記憶屋によって記憶が消されたと思われるキャラクターは本編中に大勢出てくるのですが、最初のエピソードで三人目に当たる人物が誰なのか判明する辺りから面白くなります。

記憶屋を取り巻くいろんな人物のエピソードが絡んでいてとても面白かったです。

一貫して謎な人物であるとして進んでいく記憶屋の正体が判明するところは鳥肌ものでした。

印象的なのは、遼一は記憶を消すことに対して一貫して否定的なところでしょうか。

私はどちらかと言えば記憶屋なるものがいるなら消してほしい記憶があるタイプなのですが、遼一の唱える理屈も嫌いではありませんでした。

物語の本質的なヒロインが杏子ではないところも良かったです。

ホラー要素を期待して読むと肩透かしを食らうかもしれないですが、読後の切ない雰囲気が素晴らしい一作でした。