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無量一読

わりとなんでも読む読書中心の感想ブログ。

牝猫

西洋の文学

 

牝猫 (岩波文庫)

牝猫 (岩波文庫)

 

 

 

著者のシドニー・ガブリエル=コレットはフランスの作家です。

動物が加わった三角関係なんて珍しい、というのが本書を手にとった最たるきっかけです。

タイトルのシンプルさが最初は物足りなく感じるものの読了後に改めて見返すと唸ってしまうような構成。

 

愛猫サアを人であるかのように愛する青年アランと、アランの妻であるカミーユの三角関係が主題となった物語です。

サアの「ムゥルーィン」「ル……ルーィン」という鳴き声が大好きです。

愛猫と書いてはいますが、アランにとってのサアはまさにかけがいのない存在であり、ただのペット以上の存在であるのは明らかです。

猫を飼った経験が無いので、ところどころに散りばめられた猫の生活風景を見るのも楽しかったです。

物語開始時からアランとカミーユの結婚は決まっていて、そこへサアという異なる生物が混ざって一悶着起こるのかなと予想していましたが、最後まで読むと、カミーユの方がヒロインから愛する人を奪おうとする悪役のような雰囲気に。

ラストでカミーユのセリフの中に人との対比があって、いっそサアが人間だったらここまで拗れることは無かったという説得力もありました。

猫を飼ったことがあるか無いか、猫好きかどうかで受け取り方が変わる興味深い一作でした。