読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

無量一読

わりとなんでも読む読書中心の感想ブログ。

絶対製造工場

西洋の文学
絶対製造工場 (平凡社ライブラリー)

絶対製造工場 (平凡社ライブラリー)

 

 

 

文学作品というとガッチガッチなものを想定しがちですが、今日感想を書く作品はSFです。

このような作品が1926年に書かれていたとは信じられないほどです。

東日本大震災の前と後ではまったく異なる印象をあたえるようになったとあるエネルギーについて、考えずにはいられない作品でした。

 

大企業メアス(金属株式会社)の社長ボンディ氏が新聞を読んでいた時、知人のルダ・マレクのある発明品を売りに出している広告を見かけ、彼の元へ訪れるところから物語は始まります。

発明品の名前は「カルブラトール」、物質を完全に消費しつくし、中から「絶対」を取り出す事のできる器械で、ボンディの手に渡ってから大量生産されていきます。

中盤までは、カルブラトールによって得られる生活の豊かさや愛について頷きながら読みますが、カルブラトールが発明されたことによって崩壊していくところにカタルシスを感じます。

酷い結末ではあるものの、これ以上に最適なものがあるかと言われたら、多分無いのでしょう。

一番好きなのは二十三章、淡々と進んでいくところが味わい深い。

結末を知ってから再び最初に戻って読むと、序盤がいかに重かったかがよく分かります。

前半も謎の発明品によって変わりゆく人々の様を見られて楽しかったのですが、私は破局に向かっていく後半の方が好きです。