読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

無量一読

わりとなんでも読む読書中心の感想ブログ。

トマト・ゲーム

小説

 

トマト・ゲーム (ハヤカワ文庫 JA ミ 6-6) (ハヤカワ文庫JA)

トマト・ゲーム (ハヤカワ文庫 JA ミ 6-6) (ハヤカワ文庫JA)

 

 

 

著者の1970年代の作品が収録された短編集。

タイトルだけ見ると、なんかかわいい……? なんて思ってしまいそうなのですが、犯罪小説短編集と銘打たれているだけあり、むしろ残酷な響きに変わります。

この方の作品は、妖艶さや幻惑さが魅力的なのですが、この作品の荒涼とした空気感もとても良かったです。

 

収録されている作品は、表題作の「トマト・ゲーム」を含む8編です。

「トマト・ゲーム」は全力疾走するオートバイで壁につっこむ度胸試しのゲームのことで、壁に衝突した死体が潰れたトマトのように見える、という揶揄から来ています。

この作者さんの作品は、まだ少しですがいろいろ読んできたものの、こういうタイプの作品は初めて読んだような気がします。

表題作も好きなのですが、私は「獣舎のスキャット」が好きです。

読み終わった後に重く溜め息をつくような作品で、順当に「蜜の犬」と進んで読むとすごくヘビーな読後感に変わります。

インパクトが強いので、この2作は最後に来るよう順番を変えて読むと良いように思います。

読んでみると、皆川節とでもいうのか、他の作品がまとっている趣きをこの作品からも感じられました。

大人が深夜にウィスキーと読む本、というのが私の印象です。こっそり楽しみたいタイプ。