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無量一読

わりとなんでも読む読書中心の感想ブログ。

少年少女

西洋の文学

 

少年少女 (岩波文庫)

少年少女 (岩波文庫)

 

 

 

この作品の著者、アナトール・フランスはフランスの文豪です。

本そのものは100頁程度と短く、この中に子どもを主役とした19編の短編が収録されています。

裏も表もないく澄み切った子どもの物語といった風合いでした。

 

内容は至って明快で、無邪気な子どもたちの何気ない日常の物語です。

子ども向けの物語によく見られるような、大人にとっては露骨にさえ感じる教訓めいたものはほとんどありません。

ただ、大人が読むと結構はっとする文章が多いです。

19編の中で私が一番好きなのは「ロジェの廐」で、何と言っても最後の段落が素晴らしく、「勇気」と「親切」といったら、大人が知らず知らずのうちに無くしていそうなものの代表格です。

他は「学校」「カトリーヌのお客日」などが面白かったです。

この作品が書かれた19世紀フランスの時代背景もところどころににじみ出ています。

漢字は子どもには少し難しそうに感じるものの、キラキラしたものが好きな子どもであれば、作中に登場する小道具ややり取りに惹かれるところがあるでしょう。

逆を言えば、この平穏無事な物語のどこかに何か隠されたメッセージがないか探そうとしてしまうのが、大人の(ある意味では)悪い読み方と言えるかもしれません。