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無量一読

わりとなんでも読む読書中心の感想ブログ。

ハーモニー

小説

 

ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

ハーモニー〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

 

 

 

「おそ松さん」を見ているとこの作品や、少し前だと「屍者の帝国」の映画のCMが流れてきて気になっていました。

屍者の帝国」は既読なのですが、本人の書いた作品はまだ読んでいないということで、今回はこちらの作品を選択。

軽くはないけれど重すぎもしない読みやすいSFでした。

 

舞台は21世紀後半の地球。メインキャラクターの霧慧キァンや御冷ミァハは日本国籍

Watch me というナノマシンの存在により、病気だけでなく肥満などまでが無くなった世界で三人の少女が餓死を企てたものの、トァンと零下堂キアンは生き残ってしまい、ミァハだけが死亡。

それから十年後に、世界各地でキアンを含む6582人が自死を試み、2796人が死ぬという事件が勃発します。

根本的なテーマは生命とか倫理なのでしょうが、誰もが無病息災で寿命まで生きられる理想的な世界での社会福祉に関する物語なんですよね。

ミァハと一緒に死ねなかったトァンとキアンの存在も悲しいものですが、比較的サラッと書かれているミァハのバックボーン、惨すぎます。

プライベートが淫語のように言われるこの世界ではおそらく「ロマンチック」も良い意味では捉えてもらえなさそうですが、トァンとミァハが対話する終盤のシーンはそう表現するのが適切なような気がします。

ミァハは少女のままだけど、トァンは成長して大人になったというのがよく分かる良いエンディングでした。

20頁にわたる巻末インタビュー、著者はこれを病床で書いたのだと思うと、面白かったと思う以上に何か複雑な気分になります。