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無量一読

わりとなんでも読む読書中心の感想ブログ。

架空通貨

小説

 

架空通貨 (講談社文庫)

架空通貨 (講談社文庫)

 

 

 

わりと最近気になっていた本だったような気がしていたのですが、本が出たのはかなり前のことでした。

あらすじを読んだ時はカイジが地下チンチロをしていた時のような世界観を考えていたものの、中小から零細企業の経営の顛末、それら企業が根ざした地域のことがよく書かれた堅実なミステリーでした。

わかりやすく書かれているので知識がほとんど無くても楽しめます。

 

元商社勤務で現在は社会科教師の辛島武文が、教え子である黒澤麻紀の父の会社が経営破綻を起こしたことをきっかけに、怪しい通貨「田神札」がはびこる街に踏み込んでいく物語です。

地元の大企業田神亜鉛が架空の通貨を使って企業だけでなく銀行まで支配しているだけでも面白いのに、それが流れる街の崩壊まで物語が進むのが面白いところです。

読み始めの頃はもっと荒涼とした話を想像していたので、最初の方は少し肩透かしのような感じがありましたが、一つの企業が破綻して連鎖的に他の企業も潰れて街そのものの終焉がやって来るという予想以上の展開に進んだのがとても良かったです。

最後何となくスカッとできるのは、半沢直樹の生みの親ならではです。

最終的には話の本筋に合流するコンサルタントの羽賀の復讐エピソードが一番好きです。

読了後はお金についての知識はもっと増やさなければなと痛感。

登場人物たちのその後が数行でまとめられていて、気になるところもあるものの、麻紀は平穏に暮らせているといいなと思いました。