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無量一読

わりとなんでも読む読書中心の感想ブログ。

ボヴァリー夫人

西洋の文学

 

ボヴァリー夫人 (上) (岩波文庫)

ボヴァリー夫人 (上) (岩波文庫)

 

 

最近新潮文庫から新しくでていましたが、今回私が読んだのは上下に分かれている岩波文庫版です。

フランス文学とは切っても切れない縁にあるテーマ、姦通。

物語自体は淡白に進むものの、なかなか激しい悲恋ものになっています。

 

小説の中に描かれるような輝かしい生活に憧れていたエンマは早々に結婚に飽き、夫以外の男性との不倫に溺れていく物語です。

ボヴァリー夫人とはエンマのことで、エンマの夫であるシャルル・ボヴァリーはこの前にエロイーズという未亡人と一度結婚しているのですが、彼女が急逝してから間もないうちにエンマに惹かれて再婚します。

シャルルがエンマの恋に溺れ、エンマがシャルルとの結婚生活に幻滅するのがまたスピーディーです。

不倫するヒロインの話は珍しくないかもしれませんが、エンマはかなり特殊な部類です。

エンマ自身はもともと華々しい世界に憧れていて、母の死もヴォビエサールの舞踏会も一緒くたにしているところがあり、冷めた時にとても淡白になるのです。

好きなシーン、強いて言うならエンマの壮絶な最期でしょうか。

不貞の部分以外は華々しさとは縁遠い凡庸な生活、借金苦、その挙句に描かれた死こそが、エンマにとっては本人が望んでいるにしろいないにしろ輝いていた時間ではないかなと私は思います。

この「ボヴァリー夫人」は写実主義文学を確立した名作とのことですので、背景説明が細かいのは当然なのですが私には少しくどかったです。

不貞の末の破滅、と言えば対岸の火事のような出来事に感じるものの、私にはエンマの底のない憧れが分からなくもないのです。