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無量一読

わりとなんでも読む読書中心の感想ブログ。

死刑囚最後の日

西洋の文学

 

死刑囚最後の日 (岩波文庫 赤 531-8)
 

 

 

何がこの本を手に取る原動力になったかと言われると、このタイトルでしょうか。

世界各国が死刑制度を廃止にしている中、日本はまだ死刑制度が残っているのが現状です。

死刑について私がどう思っているかについてはここでは書かないことにしますが、賛成にせよ反対にせよ、読むべき1冊であるのは間違いありません。

 

死刑囚の目線で、ただ処刑が行われるまでの日常が訥々と書かれているのみの作品です。

判決に至るまでの日々や監房の中の様子まで淡々と書かれています。

この死刑囚に家族がいることや、体は健康であることは読み進めていけば分かるのですが、結局のところどんな罪で死刑になったのかは最後まで判明しません。

かつて同じ監房にいた他の死刑囚は、よっぽどのことをして死刑になった人物なのですが……

逆に、主人公の精神的葛藤を前面に押し出しているあたり、そんな死刑囚たちも執行前はこんな心情だったかもしれない、ということを伝えているようにも思えます。

ただ、作中で何度も思い返す娘といざ会ってみた時の会話は切なかったです。

娘の年齢を考えたら、死刑執行前のとある「おじちゃま」と喋ったことすら忘れかねないのですから仕方ないとはいえ、既に死んだと言い聞かされているのは悲しいです。が、ありふれたことでもありそうです。

監房の中に書かれた絵や文字を読み込む場面は、正直自分でも同じ状況になったら読まざるをえないだろうなと思いました。