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無量一読

わりとなんでも読む読書中心の感想ブログ。

マチネの終わりに

小説

 

マチネの終わりに

マチネの終わりに

 

 

 

〈感想 ●〉

長らくタイトルだけ走っている状態が続いていたこちらの作品ですが、やっと読むことが出来ました。

恋愛小説ではあるのですが、自分が知っているものとは一味も二味も違います。

20代であれば愛に生きるような衝動的な物語が多いですが、こちらは主人公たちがアラサー世代であり、既に人生経験を積んでいます。焦点が己だけでなく周囲にも当たっているからでしょう。

薪野と洋子の人物像が始めはあまり掴めず、二人を取り巻く登場人物たちに寄って少しずつ浮き彫りにされていくような印象がありました。

マチネの終わりに、というタイトルが示すラストシーンもとても良かったです。今の生活を壊そうとするのではなく、今のままで良いのだというのを感じられる場面でした。

文章も素敵です。「神様が戯れに折って投げた紙ひこうきみたいな才能」などが特に気に入っています。

理想的な恋愛ではないし、主人公たちより前の世代の自分がこんな恋愛をしたいと憧れるようなものではなく、じんわりと感動が染み入る物語でした。

英語できるかな?―これからでも間に合う英会話コミックエッセイ

 

英語できるかな?―これからでも間に合う英会話コミックエッセイ

英語できるかな?―これからでも間に合う英会話コミックエッセイ

 

 

 

〈感想 □〉

こちら「理系クン」シリーズの方の作品です。シリーズでは有名なN島さんも登場します。

英語コンプレックスを持っていた作者さんが、ドキュメンタリー番組の撮影を通じてインド人の監督との出会いを発端に、英会話を学び始めるという内容。

厳密には理系クンシリーズではないのでしょうが、N島さんが帰国子女で英語ペラペラという、新たな設定が判明したりします。

うどんの話のところでは、N島さんが話した英語の下に和訳がきちんと載っているのですが、そこがなんとも「らしい」文章になっていて、あちらのシリーズのファンとしても嬉しい要素が盛り沢山です。

カラオケボックスにて二人でオペラ座の怪人の曲を熱唱している場面が一番面白かったです。

作者さんの努力と成長が垣間見えるのもとても良かったです。

英語コンプレックスがあるような人でも会話ができるような話法を伝授する本、というより、そんな人でも英会話を学んでみようかなという気持ちにさせてくれる一冊でした。

殺人出産

小説

 

殺人出産 (講談社文庫)

殺人出産 (講談社文庫)

 

 

 

〈感想 ▲〉

なんといってもインパクトのある表題作のタイトルと、妖しいジャケットに惹かれて手に取りました。

表題作「殺人出産」は、セックスと出産がイコールではない中で設けられた、10人出産すれば1人殺してもいいという「産み人」の制度が採用された世界の物語です。ちなみに男性でも人工の子宮をとりつければ産み人にはなれます。

一作目にしては飛ばしすぎなのではないかというくらいぶっ飛んだ話です。この「産み人」手続きを取らずに人を殺した場合どうなるかとかの設定がえげつない。

その産み人によって殺された「死に人」の描写もとても独特。システムが受容された世界でのことですが、どんな気分がするのでしょうか。

環が選ぶ死に人が誰かは、読みながらなんとなく察しがつきました。殺人の場面では極自然の流れと言わんばかりの淡さがあって印象的でした。

表題作のインパクトに持って行かれてしまってその後のエピソードはやや印象が薄くなってしまったのですが、どれも独特な匂いのようなものがありました。

生々しさはあるものの、どれも温いどころか冷たい、読んだあとは不思議な気分になる作品ばかりです。「コンビニ人間」も読みたくなりました。